少し前のデータですが、日経コンピュータの調査によるとITプロジェクトは成功率は31.1%だそうです。つまり約7割のプロジェクトは何かしら失敗をしているということになります。
失敗の内容は主に以下の点です。
- 品質が悪い
- コスト超過
- 納期の遅延
- 目的の未達成
今回はこのような失敗を招かないようにプロジェクトを成功させる為のポイントを発注者視点でまとめてみました。まずは自社内でWEBサイト制作をしよう決定してから発注先を決めプロジェクトを発足させるまでのポイントを紹介します。
1.プロジェクトの目的とゴールを決める。
まずは自社内でプロジェクトの目的とゴールを決めましょう。これが明確に共有されていないといろいろな立場から意見が飛び交いプロジェクトが迷走したり、完成したあとに必要な機能がないなんて事が起きてしまいます。
ちなみにビジネスニーズや業務課題を満たす要求をまとめる為の知識体系をまとめたBABOKというものがあります。カナダのIIDAというNPO法人が発行しているので原文は英語ですが、最近は分かりやすくまとめた書籍も増えてきているので参考にするとよいと思います。
2.RFPをつくる。
プロジェクトの目的とゴールが定まったらRFP(Reqest for proposal)を作成しましょう。これは発注先にプロジェクトの目的や前提事項、何を制作・納品してもらいたいかをまとめたもので以下のような内容について記載します。
- プロジェクトの目標/ゴール
- サイト定義
- ターゲットユーザー
- 競合サイト
- 発注範囲と成果物
- 公開日
- 品質要件
- 技術要件
- HTML、CSSのバージョン
- 対象ブラウザ
- サーバー仕様
- マスタスケジュール
これは一例なのでプロジェクトの内容により増減しますが、ここに抜け漏れがあると、数社から提案を受けても並べて比べる事ができなかったり、必要なものが見積もられず、後で追加コストが発覚するといった事が発生しますので慎重に作成しましょう。
ちなみに経験上、以下の項目はRFPに定義されず宙に浮いてしまうケースが多いですね。
- サーバー調達
- ドメイン、SSLの取得
- パッケージ、ASPの導入費
- 原稿作成、素材購入費
システム部分など専門的な部分を分かる人がいないということであれば、RFP作成を請け負ってくれる会社もあるので、そちらに依頼をするというのもひとつの手段ですね。
3.発注先を決める。
RFPが完成すればWEB制作会社に提案や見積もりを依頼することができます。指名発注やコンペ形式などやり方はいろいろありますが、個人的に一番重要なのは実際に担当するプロジェクトマネージャー(WEBディレクター)に会う事だと思います。
どんなに優秀な制作会社でもプロジェクトメンバーと上手く合わなければプロジェクトは失敗する可能性が高いです。このプロジェクトにおいては一緒に仕事をする仲間になるわけですから、ここで信頼できるメンバーに出会えるかでプロジェクト成功の8割は決まるとっても過言ではないと思います。
ちなみにプロジェクトにおける人の重要性はトム・デマルコの「ピープルウエア」という本が非常に参考になります。
もちろんその制作会社の規模や資本力、技術力なども重要なので制作会社の特徴や実績などからリストアップし、実際に担当になるプロジェクトマネージャー(WEBディレクター)と会うという事をすれば強力なパートナーを見つけられる可能性が高くなるでしょう。
次回は実際にプロジェクトがはじまってからのポイントについてまとめたいと思います。