認知的不協和とは、アメリカの心理学者レオン・フェスティンガーによって提唱された人が矛盾する認知を同時に抱えたときに覚える不快感を表す社会心理学用語です。人はこれを解消するために、自身の態度や行動を変更すると考えられています。
例えばおいしいと評判のラーメン屋に行って行列に並んで食べたがあまりおいしいと思えなかった経験はあるでしょうか?
このとき人は「おいしいと評判の店。行列に長時間並んだ。」なのに「ラーメンが美味しくなかった。」という事に矛盾を感じ認知的不協和に陥ります。そして以下のように考えます。
「このラーメンは美味しいけど自分には味が分からなかっただけ。なのでこのラーメンはやはり世間一般的には美味しい。」
このように人は認知的不協和を解消するためにこのように感情を理論的にコントロールしようとします。この現象が大きく影響するのはプライシングです。
例えば、ネットショップで気に入ったかばんを見つけました。デザインは自分の好みにピッタリで、素材も丈夫そうです。ただ思っていたより異常に安かったとします。
この場合、「”すごくいい商品”なのに”異常に安値”」という矛盾を解決するために「安いんだから、何か欠点があるはず」と粗さがしをはじめます。「写真はよく見えるけど実物は安っぽいはず」と決めつけ購入をやめてしまう人もいるでしょう。
つまりもっと高い値がついていれば売れたのです。実際に商品の価格をあげたら今まで売れなかったものが飛ぶように売れたというネットショップの事例もあります。
安くし過ぎて売れないというのも皮肉な話ですが、このように購入の機会を逃さないためにも安すぎず高すぎない適正価格をつけることが大事です。この適正価格を見つけるのはなかなか難しいですが、商品価格を少しずつ変化させながら薄利多売なのか厚利少売なのか見極めていくとよいですね。
またこの認知的不協和はキャッチコピーにも利用することができます。
WEB広告では、長い説明などとうてい読んではもらえません。ひと目見ただけでユーザーの興味を惹き、その先の情報に興味を持ってもらう必要があります。例えばダイエットのバナー広告が以下のコピーだったらどうでしょうか?
「痩せる秘訣は好きなものをたらふく食べること!」
一般的に痩せる為には食べることを我慢します。好きなものをたらふく食べて痩せられるわけがないというのが常識でしょう。ここではダイエットの広告なのにたくさん食べろと言われたことで認知的不協和に陥ります。
そしてその状況を解消するために納得する回答を求めて、その先のページにアクセスする可能性は高くなります。ダイエットに興味があるのに「そんなわけないよ。何言ってんの」と通り過ぎられる人は少ないと思います。
もちろん、だまし打ちでランディングページに連れてきただけではコンバージョンなどするわけがありませんが、「なるほど!そういうことか。」と納得させてあげれば購入や問い合わせにつながる可能性は高くなりますね。
このような手法は特に課題解決型の商材に適していますので試してみてはいかがでしょうか。
「自分がない人」が陥る認知的不協和の甘い罠
みんなが言うことは正論か?
みんなが言うから正しいんだろう――自分がないマニュアル脳の人は、そんな思考にとらわれやすい。で、右へならえで他人と同じ…