プロジェクトを進める際には必ずスケジュールの提出を求められると思います。
旅行や1日のイベントなら文字通りのスケジュールでOKですが、何かを作り上げるプロジェクトでスケジュールを作成してはいけません。
ではスケジュールなしにどうやってプロジェクトをすすめたらいいでしょうか?
プロジェクトを設計する時はスケジュールではなくWBSを作成します。
WBSとは【Work Breakdown Structure】の略で「作業分解図」とも言われます。プロジェクトに必要な作業を細かくリストアップし、各作業に対しての担当と作業時間を記したものです。
WBS≒スケジュールで認識されているケースが多いようですが、テストアップ日や納品日の記載されただけの予定表でもスケジュールですので、やはりきちんとしたWBSを作成しましょう。
では、WBSはスケジュールとどう違うのでしょう?
大きな違いはWBSは毎日更新して運用するものだということです。日々、作業の進捗を確認し設定したマイルストーンごとにプロジェクトを見直していきます。これを行うことでいち早くリスクを察知し、プロジェクトを円滑に進めることができるのです。
では具体的にWEBサイトをつくる時のWBSを作成してみます。
「WEBサイトをつくる」では漠然とし過ぎていて具体的な作業も工期も見えてきませんので作業を分解していきます。
WEBサイトをつくる
├ WEBサイトを設計する
├ デザインをつくる
└ HTMLをつくる
これで少し作業が見えてきましたね。しかしまだあらいのでもう少し分解していきます。
目安としては担当・作業時間が明確になるレベルまで分解していきましょう。
1.サイトを設計する
1-1 サイトの目的を決める。(3日)
1-2 目的達成の戦略を決める。(2日)
1-3 画面の構成要素を決める。(3日)
2.デザインをつくる
2-1 写真素材を集める(2日)
2-2 グランドデザインを作成する(2日)
2-3 デザインパーツを作成する。(3日)
3.HTMLをつくる
3-1 サーバーを準備する(1日)
3-2 推奨環境を決める(1日)
3-3 CSSを設計する(2日)
3-4 HTMLページを作成する(5日)
ここまで細分化すると各作業の内容・工数が見えてきますね。あとは工程にそって作業を並べていきます。ちなみに以下の様な表をガントチャートといいます。
これで5日で終わるというわけにはいきませんよね。サイトの設計が決まらないとデザインに着手できませんし、デザインがなければHTMLがつくれません。このような依存関係をもった一連の作業のつながりを「クリティカルパス」といいます。
しかし、必ずしも順番にこなさないといけないわけではありません。設計している間にある程度は素材を集めることもできますし、デザインが完了していなくてもサーバーを準備することはできますね。
このように干渉しあう作業とそうでない作業を組み合わせて最適なフローを設計します。
次にマイルストーンを設置します。マイルストーンとはプロジェクトをすすめる上でのチェックポイントです。
これでWBSは完成です。ちなみに中規模のWEBサイトを作るプロジェクトであれば、タスクの数は30~50くらい、大規模なものであれば100を超える場合もあります。
ただし、タスクがいくつあってもここからやることは同じです。まずは直近のマイルストーンを目指して作業をすすめましょう。作業が進んだら進捗率を更新していきます。
マイルストーンに辿り着いたらプロジェクト全体を見直します。作業が終わらなそうであればここで作業の切り分けや増員、完了日の変更などの措置をとります。
これをやらずに作業が遅れていくと、デスマーチに突入します。。。
WBSのメリットはもし作業が遅れても、マイルストーンごとに残業や増員をして取り返せるところにあります。
また、常に進捗を把握していることでクライアントはもとよりプロジェクトメンバーも安心してよい精神状態でいられますね。これが結構重要です。
つまり「WEBディレクタはスケジュールではなくWBSを作成しましょう。」ということですね。
かくゆう私も昔はただのスケジュールしか作成していませんでした。。
納品日が近づくと作業に追われ、スケジュールなんて過去の産物でとにかく作業、作業…の日々。だけどWBSの運用を意識するようにしてから劇的にプロジェクトの進行がスムーズになりましたね。
プロジェクトがいつもうまく進まないという方はぜひWBSの作成をおすすめします。