マーケティングの際に参考になるゲーム理論という学問があります。
これはある特定の条件下において利害が異なる複数間で生じる戦略的な相互関係を研究するものなのですが、その中で人間の不合理性を解説するための「囚人のジレンマ」という有名な話があります。
その話とは、
警官はこの2人に自白させる為に、それぞれに以下の条件を提示します。
- 2人とも黙秘したら、2人とも懲役2年。
- 共犯者が黙秘して、自分だけが自白したら1年に減刑。ただし、共犯者の方は懲役15年。
- 逆に共犯者だけが自白し、自分が黙秘したら共犯者は刑が1年。自分は懲役15年。
- 2人とも自白したら、2人とも懲役10年。
この時、囚人はどのような行動をとるかという問題です。
考えられる結果を整理すると以下のようになります。
第3者から見れば、2人とも黙秘するのが一番いいと思うでしょう。
しかし、2人は別々の牢屋にいるので相手の判断を推測するしかありません。
このとき、囚人がどういう行動をとるかというと
「自分が自白すれば、相手が黙秘で1年。相手が自白しても10年だから相手に裏切られて15年になるよりもいい。」
と考え自白してしまいます。自分にとって最適な答えが全体にとって最適ではないというのがジレンマと言われる所以ですね。
とはいってもそんな状況になることは考えづらいので身近な例で考えてみると、競合他社との価格競争がいい例だと思います。特に少数の企業で市場の大半をしめる業種で顕著にでます。
相手に価格を下げられると消費者はそちらに流れてしまう。だけど値下げをすれば利益が減る。
まさに”囚人のジレンマ”ですね。ただ、この状況をうまく回避している例があります。
「他店より1円でも高い場合はお知らせ下さい」
どこかで聞いたことはないでしょうか。そう、大型家電量販店でよく見かけるやつですね。
こうすることで値引き競争という「囚人のジレンマ」に巻き込まれなくてすみます。
他店が赤字覚悟で値引きしたらどうするかと思うかも知れませんが、あくまで「お知らせください」というのもポイントですね。経験上、対象店舗は近隣エリアで価格.comとかではダメなどといったルールがあるようですね。
さらに「今、0,000円にしてくれたらすぐに購入します。下がらなければ他店に行きます。」といって「囚人のジレンマ」に引き込むという手もありますが、いち消費者が言ったくらいでは丁重にお断りされますかね。。